ニットお手入れ
2023年04月06日

大切なニットのお手入れにアイロンはOK?それともNG?効果的なアイロンの使い方


大切にしているニットにしわがついてしまったとき、躊躇せずアイロンをかけられる人は少ないのではないでしょうか。シャツやパンツなど他の衣類と比べてニットは、取り扱いの非常に難しいアイテムです。アイロンを使用していいのかも、迷ってしまうものです。

そこで、しわ取りなど、ニットの手入れにアイロンは使っていいのかをお話します。さらに、効果的なアイロンの使い方もご紹介します。

1.ニットにアイロンは使用していいか?

ニットの繊維の分子は、熱と水分で動きやすい状態になります。動きやすいとは、伸びたり縮んだり、しわがついたり取れたりするということです。それだけ聞くと、ニットにアイロンはNGなように思えてしまいます。

ところが熱と水分で状態が変化する特長をうまく活かせば、効果的にニットのお手入れができるのです。つまり、正しく使うことを条件にすれば、ニットにアイロンはOKだということです。

2.ニットのしわをアイロンで取るには?

まずは、アイロンでニットのしわを取る正しい手順を紹介します。

2-1.アイロン表示をチェックする

大前提として、ニットについているタグに「アイロン不可」のアイロン表示マークがある場合は、アイロンの使用は避けましょう。アイロン不可のマークは、アイロンのイラストにバツ印が描かれています。

2-2.アイロン温度とスチーム量を設定する

アイロンの設定温度も、アイロン表示マークに記されています。アイロンのイラスト内に黒い点が、1つから3つ書かれています。1つなら低温、2つなら中温、3つなら高温に設定しましょう。

ちなみに、ニットの素材によって適温は異なります。ウール・カシミヤ・シルク・デリケートな合成繊維などは低温(80~120℃)、レーヨン・ポリエステル・アクリル・キュプラなどは中温(140~160℃)、綿・麻などは高温(180~210℃)が目安です。

また、大部分のアイロンはスチーム量も2段階に設定できます。スチーム量が多い「高」はウール100%など、優しいスチームの「中」は化繊が入っているニットに使います。

2-3.アイロンのスチームを当てる

通常布の上を滑らせてしわを伸ばすアイロンですが、ニットの場合は、アイロンをニット生地に当てないことが重要です。1㎝ほど浮かせた状態で、蒸気をしわのある個所に当てていきます。アイロンを押しつけプレスしてしわを伸ばすのではなく、蒸気の「熱」と「水分」で繊維を動かすのが目的なのです。

アイロンを押しつけると、繊維がつぶれてしまい、ふわふわ感が損なわれたりテカリが出てしまったりします。蒸気を当てたら、手で押さえてしわを伸ばします。

2-4.当て布をする場合

ニットについたアイロン表示の中には、当て布をするよう注意書きがあるものがあります。シルク・カシミヤ・レーヨン・ポリエステル・ウール製のニットには、当て布をするような注意書きがある場合が多いのです。

当て布をすればアイロンを直接当ててもいいのですが、強く押しつけたり伸ばすようにアイロンをかけたりするのはNGです。アイロンを押しつけると繊維がつぶれてしまい、ふわふわ感がなくなってしまいます。弱い力で、優しく当てるようにしましょう。

2-5.冷ます

蒸気の熱でしわを伸ばした後のニットは、やわらかく伸びやすい状態にあります。ハンガーにかけたり吊したりすると、伸びてしまうので気をつけましょう。平置きの状態で冷ますことで、しわのない状態を定着させるようにします。

3.しわ取り以外にも使える!ニットにアイロン

「熱」と「水分」で繊維の状態が変わる性質を上手に利用すれば、ニットのしわ取り以外にも、次のようなアイロンの使い方ができます。

3-1. たたんでぺたんこになってしまったニット

オフシーズンにたたんでしまっていたニットを久しぶりに取り出したときに、ぺたんこになってしまい、ふわふわ感がなくなってしまったことはありませんか?そんなときにもアイロンが使えます。

しわ取りと同じ要領で、少し浮かせてスチームアイロンの蒸気を当てることで、寝てしまっていた繊維が起き上がり、ふわふわ感がよみがえります。

3-2. 縮んでしまったニット

乾燥機にかけたらニットが縮んでしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。それは、乾燥機の熱によって縮んでしまったのです。

熱によって縮んだニットも、アイロンの熱によって元に戻せます。縮んでしまった部分に、アイロンを少し浮かせてスチームを当てます。そして、少しずつゆっくり上下左右にニットを伸ばします。元の大きさに戻るまでアイロンのスチームを当てては伸ばすのを繰り返すと、縮んでしまったニットを元の大きさまで伸ばすことができます。

3-3.伸びてしまったニット

袖口や首元のリブ編みの部分が伸びてしまうことも、多々あります。そんなときには、リブ部分にスチームを少し離して当てましょう。少しずつ縮んでいくので、様子を見ながら元の大きさになるまで蒸気を当てれば完成です。

4.まとめ

ニットはアイロンによる「熱」と「水分」で変化してしまう性質があります。それは縮みやテカリの原因にもなってしまうものの、上手に利用すればしわ取りや縮み・伸びの補修も可能となります。

ただし、正しい使い方をしなければいけません。ついつい蒸気を当てすぎてテカってしまった、縮んでしまった、ニットの毛並みが寝てしまったなどのトラブルが起こりやすいです。万一の失敗が不安なら、クリーニング店にお任せするのも一案です。

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